• テキストサイズ

【イケシリ】sweet dreams【短編集】

第16章 月夜の待ち合わせー政宗ー


濡れ鼠になっているかもしれない政宗のために、手ぬぐいを握りしめて走った。
もう、着物ってほんと走りにくい!
夕立のせいで地面ぬかるんでるし!



待ち合わせ場所が見えてきた。


そこに見つけたのは、ずぶ濡れで佇む政宗の後ろ姿。

待っててくれた……。

「お待たせっ!」

「お、来たか。」

息を切らして声をかけた私に返って来たのは、拍子抜けするほどあっさりした言葉だった。

「怒ってないの?」

「別に。」

「ごめんね、お届けするはずの着物間違えて城に戻ったりしてて、それで……。」

「俺はいつも待たせることの方が多いからな。
たまには待たされるのも悪くない。
おまえが相手なら。」

そう言って政宗は目を細めて笑った。
この顔にいつもドキドキさせられる……。

「夕立凄かったし、びしょ濡れだよね。ほんとにごめん。
気休めかも知れないけど、とりあえずこれで拭いて。」

手ぬぐいを渡す。

「水も滴るいい男だろ?」

確かに髪を濡らした政宗はちょっと艶っぽくて胸の高鳴りが抑えられなくなる。

政宗はわしゃわしゃと髪を拭くと言った。

「よし、じゃあ御殿に戻って仕切り直しだ。
ここで押し倒したら泥だらけになる。」

えっ?!ここでするつもりだった……の?
政宗の言葉に顔が熱くなる。

「バカ、冗談だ。
まぁでも、帰ったら遅れた仕置きはさせてもらうから、覚悟しとけよ?」


/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp