第16章 月夜の待ち合わせー政宗ー
あぁ、日が傾いてきた。
御殿での待ち合わせだったら誰かに言付けお願いできたかもしれないけど、今日は外で会う予定だし、政宗と恋仲になったことまだ誰にも言ってないし……。
こういう時、切実に携帯が欲しくなる!
政宗、完全に待ち惚けだよね。
ちょっとでも早く行けるように急がなきゃ。
……
「ありがとうございました。
あいつも気に入ってくれると思います。」
「そう言ってもらえると嬉しいです。
明日、がんばって下さいね。
秀吉さんがよろしくって言ってました。」
なんとか無事に着物を届けられてお暇しようとした時、ポツンと雨粒が。
空を見上げると、あっと言う間に土砂降りの雨が降り出した。
さっきまであんなにお天気だったのに。
現代で言ったらゲリラ豪雨ってくらいの降りようで、傘を借りたとしてもびしょ濡れになってしまいそうだ。
「うわーすごい夕立ですね。
止むまで、うちで雨宿りしていってください。」
結局私はそこで30分くらい足止めされた。
どうしよう。
すごい雨だったし、政宗さすがに御殿に帰ったかな。
待ち合わせ場所と御殿は別の方角だから、どっちに行こうか少し迷った。
でももしかしたら、まだ待っててくれてるかもしれない。
待ち合わせ場所に向かうことにした。
「すみません、手ぬぐい1本お借りできますか?」