第16章 月夜の待ち合わせー政宗ー
とりあえず、急いで辞去してお城にとって返した。
あぁーなんで今日に限って!!
自室に戻ると、案の定もう一つの包みがポツンと置いてある。
念のため中を確認してから包みをつかむと部屋を出た。
廊下を急いでいると、前から秀吉さんが歩いてきた。
「こーら、紗代!廊下は走るんじゃない。」
「ごめんなさい、ちょっと急いでて!
あ、秀吉さんが紹介して下さったお客様のところに出来上がった着物を届けに行くんです。」
「あぁ、あいつのところか。
よろしく言っといてくれ。
それにしてもそんなに汗だくで、ほら。」
秀吉さんは手ぬぐいを出すと、こめかみに滲んだ汗を拭いてくれた。
「ちょっ……!」
その手はススっと首筋まで動いていった。
さすがにそこを男の人に触られるのはドキドキしちゃうよ。
「なんだ?これまだ使ってないやつだから綺麗だぞ。
よかったら持っていけ、まだ外は暑いだろ。」
びっくりした理由をちょっと勘違いしてるみたいだけど、今ゆっくり話してる時間がない。
「ありがとう!じゃ、借りていくね!」
私は手ぬぐいを握りしめて走り出した。
「走るなって言ってんのに……。」