第2章 レオ←→セバスチャン
約束のキャンセルはこれで5度目。
仕事入っちゃったんだからしょうがない。
そんなことはわかってる。
「ずーっと楽しみにしてたんだもん。」
ミルクは独り言を呟いた。
ちょっとくらい拗ねたっていいじゃない。
でも、こんなことで怒るなんて、めんどくさい女って思われたかな……。
「あーあ。」
枕に顔をうずめて、後悔中。
レオはいつでも優しいし、多少のワガママも笑って許してくれるのに。
怒って出てきちゃった手前、すぐ謝りに行くのもちょっと気まずい。
今日は頭冷やして、明日朝一番で謝りに行こうかな。
コンコンコン
扉をあけると、レオが立っていた。
「えっ、あの、レオ?」
「こんばんは。
ちょっと入ってもいい?」
「うん。」
レオを招き入れる。
「レオ、さっきは……」
「ちょっと待って。」
人差し指がミルクの唇を押さえた。
「俺、レオじゃないんだ。」