第11章 シド←→ジャス2
翌朝、まだ陽が昇らないうちに隠れ家を出る。
シドも朝一番の飛行機に乗る予定だと言って、一緒に出ることになった。
「閉めるぞ。」
シドが鍵をかけた。
その手元を見て思わず頬が緩む。
昨日、寝る前に渡したプレゼントはシンプルなキーリング。
何でもいいからお揃いのものが欲しいなと思って、実は同じデザインの小さなものを私の鍵にもつけてある。
8月の誕生石のペリドットを一粒、あしらってもらった。
もちろん私のには、自分の誕生石。
「なんだよ、そんなに嬉しいのか?」
リングを指にかけて私に見せながら言う。
「どうせ、"お揃い"とかなんだろ?」
う、言ってなかったのに完全にお見通しだな……。
「俺にとっては物より何より、おまえのその顔が見られたことが一番だ。」
不意打ちでそんな嬉しいこと言うのやめて!
「ま、それが見られるならおまえに祝われる誕生日ってのも悪くねぇな。」
「なにそれプロポーズ?」
負けじと混ぜかえすと、シドは少し面食らった顔をして笑った。
「くっ……そんなわけねぇだろ。」
こっちも冗談だけど、そうあっさり返されるのも寂しいな。
そう思っていると、シドは続けて言う。
「そういうのは、こんな道端でするもんじゃねぇだろ?」