第11章 シド←→ジャス2
「よぉ、じゃじゃ馬。
今日はやけにめかしこんで、どうした?」
シドの第一声。
会うのも久しぶりなのに、いつもと変わらない減らず口。
でもそれが心地いいと思う私もたいがいだ。
「お誕生日おめでとう。」
「俺のために可愛くしてきました、ってことか?」
「シドのために可愛くしてきました!
もう!これで満足?」
「上出来。」
わしゃわしゃと頭を撫でて笑うシド。
あ、ちょっと嬉しそうにしてる?
私たちはシャンパンを開けて、乾杯をした。
「お仕事忙しそうだね。」
「まぁな。」
「でも今日は一緒にお祝いできてすごく嬉しいよ。」
「誕生日なんてそんなにめでたいか?
今までは気がついたら終わってたくらいどうでもよかったけどな。」
「大切な人が生まれた日なんだから、お祝いするの当然でしょ。
これからはなにがあっても私が毎年しっかりお祝いするからね!」
「へぇ。」
シドがにやにやして私を見る。
「今のはプロポーズか?」
「えっ、違うっ、そういう意味で言ったんじゃないよ!」
恥ずかしくなってシャンパンを一気にあおる。
「意地悪。」
シドは片手で私のグラスに2杯目を注いだ。
「そういうとこも好きなんだろ?」
私はグラスの中で弾ける泡を見ながら言った。
「そうだよ。
シドが好き。
悔しいくらいシドの全部が大好き。」
すると、スッと顎がすくわれてシドと目が合う。
「そういうことは、俺の目を見て言え。」
唇が重なった。