第11章 シド←→ジャス2
シドの舌は私の唇を一周なぞると、隙間から口内に滑り込んできた。
いつになく甘い口づけにとろけてしまいそうだ。
「んぅ っ は…… 」
キスをするのも久しぶりなのに、こんな風にされたら身体の芯にともった火は簡単には消えなくなってしまう。
「……シャワー浴びてこいよ。」
濡れた唇でシドが言った。
お酒も飲み干さないうちに、なんて、シドも久しぶりだからかな。
私は頷いて立ち上がった。
………………
ていうか、いつもわざわざシャワー浴びろなんて言わないのに。
私汗臭かった?!
いや、そんなことはないはず……。
そう思いながら、バスルームの扉を開けた。
え、なにこれ……?
シャンプーとコンディショナーは可愛い陶器のディスペンサーに入れられ、前はなかった綺麗な色のシャワージェルが並んでいる。
いい匂いのする乳白色のお湯が張られたバスタブにはバラの花びらまで浮いていた。
なんかだかすごくロマンチック……今日は私の誕生日じゃないはずだけど。
シャワーを出そうと手に取ると、シャワーヘッドも変わっていることに気づく。
ダイヤルをまわすと、水量や水圧が変えられる。
なんだかんだ言って、シドも今日楽しみにしててくれたのかな。
そう思って嬉しくなる。
蛇口をひねってお湯を出し始めた時、後ろで扉が開いた音がした。