第11章 シド←→ジャス2
あの日から、シドには一度も会えないまま誕生日当日を迎えた。
しつこくお願いしてたからか、夜はなんとか時間作れたって連絡があった。
青いリボンをかけてもらった小さな箱を持って部屋を出る。
廊下でユーリとすれ違った。
「ミルク様、こんな時間からおめかししてどこいくの?」
「あ、えっと、」
言い淀んだ私の手に持った紙袋を見て、あぁ、と気づいたユーリが言った。
「ごめんごめん。今日は、そっか、そうだよね。
明日の朝は、できるだけゆっくり起こしにいくね。」
楽しんできてねーと、行ってしまった。
ユーリにだけはシドとの関係を隠し通せなかったんだけど、こういうタイミングで会うとなかなか恥ずかしいな。
ユーリに言われたように、髪を巻いてお気に入りのワンピースを着てきた。
隠れ家で少しお祝いするだけだけど、ちょっとは可愛くしていきたかったし。
あとは、一応今日のためにランジェリーも用意して着てきたけど……。
途中で冷やしたシャンパンを取りにキッチンに寄って、隠れ家に向かう。
昼間はまだ暑いけれど、夜はだいぶ過ごしやすくなってきたな。
今日は、お天気が良かったから星がとても綺麗。