第10章 家光様の帰城ー四日目・鷹司ー
「鷹司を正室にして、二人で子でもなせ。」
突然の展開に驚いていると、隣の紗代が返事をする。
「ほんとにいいんですか?」
「私がそうしたいのだ。
早くしないと夜が明ける。
私はおまえの返事を聞いたらすぐ城を出るつもりだ。
どうだ?」
紗代は、俺の手をぎゅっと握った。
「私は、鷹司と一緒にいたいんです。
だから、そのお話お受けします。」
「おまえならそう言ってくれると思っていた。
あとのことは頼む。
ではな。」
「待て、家光。」
一呼吸置いて言った。
「一応、礼を言っとく……ありがとな。」
「やめろ。雨が降る。
行くぞ、火影。」
…………………
家光は本当に城を出て行ったようだ。
繋いだ手がもう一度ぎゅっと握られて、紗代が呟く。
「この手、もう離さなくていいんだよね?」
泣き出した紗代の肩を包んで、気がすむまで抱きしめてやった。
夜が明けたら、忙しくなりそうだ。
ーおわりー
→おまけにつづく