第6章 *過去の傷
『んぅっ、も、申し訳っ…ありません』
「ヴィアっ、濡らしていないだろ。痛くて、辛いはずだっ…早く、やめ、ろっ」
『ぅっ…や、ですっ。やめ、ませんっ、んぅっ』
痛い、痛いのに、苦しいのに、辛いのに……
いつの間にか、私の下腹部がじんっと熱くなってくるのに気づいた。
ゾクゾクと、何かが体中を走るようなそんな感覚に陥って、漏れる言葉もさっきまでの辛そうなのより甘いものに変わっていた。
『ぁんっ…あ、はぅっ』
グジュグジュと結合部分から愛液が流れ出てくるほど、いつの間にかヴィア自身が感じてしまっていた。
だが、自分が分かるわけなく先程同様に謝りながら腰を振り続ける。
『あっ、ぁ、もぅしわけぇ…あ、りません、っ』
「…ヴィア、なんで、こうするのっ?」
突然の質問に戸惑ったが、答えることにした。
上手く呂律が回らないが頑張って話す。
『せ、しぇん様にっ…気持ち、よくなっれもらいたかった…ん、ですっ』
「そっか…その割には、ヴィアが気持ちよくなっちゃったみたいだね(笑)」
その言葉を聞いて、私は我に返った。
セン様に気持ちよくなってもらうつもりが、自分ばかりだという事に。
慌てて気持ちいいのを塗り替えるため左手に噛み付く。
「ちょっ、と?!」
起き上がろうとしたセン様を抑え再び腰を動かす。
左手には歯が刺さっていて血が出てきた。
痛みと快楽が私の中で渦巻いている。
『ぐぅっ…んっ、ぅ』
どちらにも身を委ねることが出来ない…私はまた涙を流し呟く。
『申し訳ありませんっ……セン様』
主人を怪我させ、せめてもと力を分け与えようとすると、自分だけが気持ちよくなってしまいセン様には嫌な思いしかさせていない。
そんな自分に悔しさを覚えた。
「……ヴィア、抵抗しないから。このネクタイ外してくれないか?」
微笑みながら言ってくれるセン様を見てチクリと胸がいたんだ。
「ごめんなさい」と思いながら、私は恐る恐るネクタイを解いた。