第5章 *お買い物
ぐるっと店を見て回っていると、ガチャっと扉が開いた。
お客さんが来たのだと思い慌てて扉近くから離れるが、入って来たのは意外な人物で、
「あ、セン。いらっしゃい」
『セン様? どうして』
「!! あ、ヴィア…」
私もセン様もお互い驚きの表情だった。
たがセン様が私を見た時、すぐに右手を後ろに回したのを見逃さなかった。
なぜ隠したのか分からないが気になってしまったため、尋ねてみる。
『セン様、腕をどうかされましたか?』
「どうして、そう思う?」
『私を見た瞬間、右手を後ろに回したので少し気になりまして』
「……ヴィアは気にしなくていい」
そう言って店の奥へと歩いていってしまう。
すれ違った時、一瞬見えたのは血が滲んだ包帯を巻いた手だった。
どこでやられたのか、誰にされたのか…そんな事で頭がいっぱいになってしまいセン様が歩いていった方を呆然と見ていた。
「ヴィアちゃん」
『…………ぁ、はい』
「薬、出来たよ。 痛みがある時だけ使用してね」
『あ、ありがとうございます』
「…センが心配?」
突然投げかけられたその言葉に私はすぐに頷く。
「そうか……まぁ、アイツなら大丈夫だよ。 あんな怪我、すぐに治るだろうから心配いらないよ」
『そうです、か…』
「まあまあ、そう気を落とさずにね? 後でセンに聞いてみたら良いだろ?」
『はい、ありがとうございました』
励ましてくれたレギーロさんにお礼を言い、私はお店を後にした。
クレス君がいる服屋に行かないと…だが、やはりセン様の怪我が気がかりだ。
帰ってからセン様に改めて聞こう、そう思いながら服屋へと足を勧めた。