第5章 *お買い物
「いや〜、なかなかのリアクションだったからついね」
笑わないでと言ってもまだ笑っているレギーロさんは、手招きをしながら店の奥へと入って行く。
自分も後に続き店の奥へ行くと、ある一室に通された。
『(いつもはこんな部屋に通されないんだけど…)』
「どーぞ、座って」
レギーロさんがポンポン叩いている椅子に戸惑いつつも座らせてもらう。
店と変わらない部屋の雰囲気に、もう怪しさしか感じない…何が始まるんだろうか。
「今日は何で部屋に通されたんだろ…って思った?」
『えっ?! ぇ、あ、はい』
「ははっ(笑) さっきからヴィアちゃん驚きすぎだね。 そんな怖がらなくても、変な事はしないよ」
両手を上げてヘラッと笑っている。
変な事しないなら…と言うか、変な事しないのは当たり前だと思うのですが。
心の中で容赦ないツッコミを入れつつ、レギーロさんに問いかける。
『はぁ……じゃあ何の為この部屋に?』
「うん、じゃあちょっと帽子取ってくれる?」
『あ、はい』
笑顔で…いや、マスクで口元は分からないのだが、目だけが笑っているような笑顔で言われ急いで私は帽子を脱ぐ。
『傷なんですけど…全く治らなくて、時々痛むんです』
「痛む? 傷痕が残っているだで、一応治ってるとは思うんだけど」
『ぃっ….た…』
レギーロさんが傷に触れた時ビリビリと痛みが走り堪らず、彼の腕を掴み顔を離す。
「…いつもそんなに痛いの?」
『いえ、今は痛くて』
「じゃあちょっとだけ、我慢してね」
『っ?! ゃ…ぃたっ』
腕を掴んでいるのだが、全然止めることが出来ず傷痕を見られる。
手が触れる度に痛みが走り涙が出てきた。
『は、っぅ…』
「……大丈夫、大丈夫。 すぐ終わる」
慰めてはくれるが、痛みが和らぐわけも無くもうただひたすら耐えるしかない。
傷痕だが、鼻より上の部分全て…顔の端から端の目の周り全部が焼けた痕のようになっている。
こんな傷どうやったらつくのか、自分にも分からないがセン様は″術師の仕業″と言っていた。
いつ、どのタイミングでやられたのか…自分には身に覚えが無い。
「はい、終わり。 痛かったね」
よしよしと頭を撫でてくれる、レギーロさんの優しさかな。