第2章 *所有物
コンコン
扉をノックする音が聞こえ、外から声がする。
「ヴィア、起きてるか?」
旦那様の声だ。
いつも旦那様が私を呼びに来て1日が始まる。
『はい、どうぞお入りになって下さい』
ガチャと、扉をの開く音がしてすぐ後ろに気配を感じた。
「おはよう、ヴィア」
『おはようございます、旦那様(笑)』
すると何故か不機嫌そうな口調になってしまった。
「また旦那様って……名前で良いって言っただろ?」
これが理由だ。
『ですが、私は旦那様に買われた身ですから、簡単に名前呼びなど出来ません』
そう、自分はあの時闇オークションで買われた身。
住まわせてもらっている分際で名前呼びなど出来るはずがない。
「じゃあ、主人命令なら?」
突然耳元で言われて体がビクッと跳ねた。
『うっ……わ、分かりましたよ////』
主人命令は断れるはずが無い…。
『はぁ……ではだんn((…いえ、セン様。 朝ご飯にいたしましょうか』
セン「あぁ、そうしよう(笑)」
そっと腕を引かれセン様の腕に掴まる形になる。
こうしなければ私は周りが見えないため歩けないのだ。
普通、家の主人がこんな事をするはずが無いのだが、私の旦那様はどこか普通と違う事が多いように思う。
例えば…
食事は一緒に食べるとか。
何故だかは分からないが、常に行動を共にする様にしているように感じる。
別行動をする時間の方が少ないように感じる程だ。
この屋敷で約一年程いるが、聞いても「…さぁ?」とはぐらかされてしまってばかり。
(私の旦那様は、やはりどこか変わっているんじゃないだろうか…?)
といつも思うのだ。