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術師~Lonely assassin~【R18】

第1章 *プロローグ


真っ暗で、薄汚くて、ジメジメした一室。


ここは闇オークションの、言わば控え室みたいなもの。


希少な動物はもちろん、人間も居る。

皆希望など捨てたように、うつ向き何も話さず生きているか死んでいるかも分からないような状態だ。


そんな中……響き渡る大きな音が。



ガシャンッ!! ガシャンッ!!


鉄格子に何かを強くぶつけている様な音が辺りに響き渡る。



『うぅ……っ、あ″ぁぁっ!!』



鉄格子の音に混じり、女の呻くような声が聞こえる。


音に気づき、監視の男2人が様子を見に現れた。


「何だ? パニックにでもなったか」



「ったく……うるせぇっ! 静かにしろっ」



2人の目の前には、大きな鳥籠に入れられた女の姿があった。


女は後ろで手を拘束されてるにも関わらず体全体を鳥籠にぶつけて破ろうとしている様だ。


男の言葉が聞こえていないか、一心不乱に体当たりを繰り返す女。



「バカだなぁ…″鳥籠の術″がそんな簡単に破れるわけ無いのによ」


「……いや、ちょっと待て…あれ、見てみろ」



鳥籠の周りに、薄らと見えるガラスの様なもの。

それにヒビが入り……


パンッ!

と、弾けた。



2人が後ずさりするなか、女は再び体当たりをしようとしている。


だが、


急に何かに弾かれたかの様に、女の体が後ろに飛び鳥籠が大きな音をたてる。

そのまま女は動かなくなってしまった。



「死んだ………?」


「…いや、気絶している様だ」



女を確認している2人の後ろから、とある人物がやって来る。


その人に気づくや否や、男2人は焦りを見せた。


「あ、あ……貴方はっ!?」


「どうして、こちらにっ?!」


男2人の間を通り抜けその人物は嬉しそうな顔で、鳥籠に真っ直ぐ近づいていく。


動かなくなった女を眺めたあと、落ち着いた声で彼は告げた。



「彼女を、買いに来たんだよ」
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