第4章 *迷い子
『……んっ、ぁ』
朝、目が覚め私は大きな伸びをして体を起こす。
昨日はあの後の記憶が無いため、きっとそのまま寝てしまったのだと分かる。
だが今いるのは自分のベッド、きっと誰かが運んで来てくれたのだろう。
『あぁ、まだ疲労感が…』
重く体にのしかかるような疲労感を感じながらも、ベッドから降りて服を着替えて身だしなみを整える。
いつもと同じように、髪を結い目に布を巻きセン様が来るのを待つ。
コンコンッ
『はい、どうぞ』
「失礼します」
入ってきたのはセン様では無く、
『その声は……ステロさん?』
「えぇ、おはようございます」
ステロさんはもう一人、ルノさんという方と双子でこの屋敷では主にセン様が外出する時の護衛をしている。
2人とも全く同じ顔なため唯一の見分け方がつくのは、髪の長さくらいだ。
兄であるルノさんは、長髪で右目を隠すように前髪を下ろしていて、弟のステロさんは短髪で左目を隠すように前髪を下ろしている。
たぶん、私達が見分けれるようにわざとしてくれているのだと思う。
『おはようございます。 どうしてステロさんが?』
「セン様は今日はお出掛けになるそうなので僕が」
『あ、そうなんですか! じゃあルノさんが一人で護衛を?』
「はい、もし何かあったら分かるのでね」
『お2人の術ですね』
「えぇ、どれだけ離れていてもお互いの事が分かるのは勿論、他の人の事もわかるので(笑)」
『便利で良いですね』
「いやいや、そんな事は無いですよ。 知ってはいけない心を見ちゃう時もありますから」
そう言ってステロさんは私を連れて廊下に出る。
歩きながら話を続けていく。
『あぁ、それは…ね』
「ははは(笑)、そう言えば…昨日はお楽しみでしたね」
突然言われたその言葉に体が固まってしまい、その場に立ち止まる。
全身から血の気が引くのが分かった。
『き、聞こえてたんですかっ!?』
「えぇ、まぁ(笑) でも、ヴィアさんの術では仕方ない事だと思うので、」
『それでも、恥ずかしいですよっ!!』
「まぁまぁ……ん?」
『どうしたんで((…んむっ?!』
何かに反応したステロさんに問いかけると、いきなり口を塞がれた。