第4章 *迷い子
「…………。」
『…………?』
少ししてから、私の口を覆っていた手は退けられた。
何やら深刻そうな雰囲気を感じた私はステロさんに声をかける。
『どうか、しましたか?』
「……どうやら、街でセン様に尾行が付いているようです。 確かめに来てほしいとルノから言われたのですが、ヴィアさん一人で大丈夫ですか?」
『私は大丈夫ですから、気にせず向かってください』
「では、」
ビュンッと風の切るような音がした後、ステロさんの気配が消え静寂が訪れる。
誰も居ないと思い、布を外して周りを見るとすぐ近くが庭だった。
この季節は何の花が咲いているのだろうと思い、視線を外に向けるとがさがさッと草が大きく揺れたのだ。
『!? な、何だろ…動物?』
気になった私は気配を消しながら急ぎ足で向かった。