第9章 What do you mean?〜澤村大地〜
1分くらいその場で考える。
え?なに?
俺フラれた?
なんで?
察せない?
え?なにが?
お??お????
「ちょ…っ、あんず!」
坂ノ下の店の前の坂をダッシュで下りて
肩丈の黒髪を追う。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、
お前が何を言ってるのか理解できない」
「はあ?」
今まで俺に見せてこなかったガチの呆れ顔。
初めて見る、あんずの負の顔。
「マジそういうのダルい。そーゆーとこ。
そういう、女のこと考えられないとこ。
私に好かれなくてもその辺の女には
ちゃんとモテるんだから諦めなよ。
じゃーね」
「いや、だから!」
「何よ!」
「ちゃんと説明してくれよ。じゃないと
諦めきれない」
あんずの黒い目が揺れる。
「ホントに俺のこと嫌いになった?」
ジャージの裾を握って、唇を噛み締めて
何かを我慢しているようなあんず。
「なあ、黙ってないで教えてくれ」
俺が一歩近づけば一歩退く。
二歩近づけば二歩退く。
「あんず」
「…さっさと嫌いになってよ」
「え?」
「こんだけ言っても私を嫌いになんない?!
マジで?!頭おかしいんじゃないの?!」
出会った頃より少し伸びた髪を振り乱して
顔を真っ赤にして泣きながら叫ぶあんず。
「あんず…?」
「結が好きなら早く付き合いなよってずっと
思ってた!私なんかどうでもいいんでしょ
正直早く別れたいんでしょってずっと!
ずっと思ってた!」
「…ちょっと何言ってんのかわかんな」
「黙ってよ!なんなのホント!思わせぶりな
ことしてさ!なんか彼氏とか言ってるけど
実際それっぽいことしたことある?!
半年以上付き合ってキスもしてないとか
マジかよ!話のネタにされる女の気持ちにも
なれよ!女バレの部室の前通るたびにさ!」
『マジ小鳥遊ふざけてるよね』
『半年も付き合っててキスもさせないとか
澤村かわいそー』
『早く別れて結と付き合えばいいのにね』