第9章 What do you mean?〜澤村大地〜
「なんか食ってく?」
「ダイエット中だからパス」
「ダイエット?しなくていいだろ」
彼女の細い手足を見て心から思う。
これ以上痩せられると抱き心地が…ごほん。
「引退も近いし、今までと同じように同じ量
食べてたら普通に太るの」
「もうちょっと太るくらいでいいと思うけど」
「引退太りと幸せ太りほど醜いものはない!」
でも肉まんを口の前に差し出すとちゃんと一口
食べていく。
可愛い。
もぐもぐと斜め下を向いて肉まんを頬張る
あんずを見ていると、なんとも言えない
幸福感に胸が締め付けられる。
この子を失ったら俺壊れるなあ、なんて
柄にもなく思ったりする。
「ね、大地」
「ん?」
「別れよっか」
自分が5秒前に考えていたことが
フラッシュバックする。
「…え?」
「私のことなんにも知らない、知ろうとも
してくれない、察してくれない、察しても
くれない男とは付き合ってられないわ」
「え、ちょ」
「じゃあね」
俺の右手からボトルケースを取って
颯爽と去っていくあんず。
「…え?」