第2章 happy jewel
「なんだ? 嬢ちゃん」
館の高い門の前まで来ると、いかにも腕に自信のありそうな大男が二人、唯の前に立ちふさがった。
「ここは今誰であろうと立ち入り禁止なんだ」
「急募のチラシ見て来たんだけど。それでもだめ?」
唯は二人を見上げて言う。
……それが、とりあえず内部に入り込む一番の近道だと唯は考えたのだ。
すると男二人は顔を見合わせて笑い始めた。
「嬢ちゃん、チラシを見たんだろ? どう見たって強そうにゃ見えねーぜ」
その言葉にムっとした唯は言い返す。
「それなら貴方、かかって来なさいよ」
「は? ……あっはははは! 何を言い出すのやら!」
男は一瞬ポカンとしたが、また笑い出した。
だがその直後、男は顔面に唯の容赦ない飛び蹴りを食らうことになる。
長年の義賊業で元々備わっていた俊敏さや跳躍力。
それに最近はジン達とのスリリングでサバイバルな生活も加わって、唯はすでにそこら辺にいる図体だけの男程度には負けない力を付けていた。
盛大に後ろに倒れ気絶した男を、汗を垂らして見下ろしたもうひとりの男に唯は言う。
「これでいい?」
と、男が答えるよりも先に、どこからか女性の声が聞こえてきた。
『お嬢さん、中へどうぞ』
そして門が音を立てて開いた。