第3章 再会、忘れたい過去
「友達とか中学の時とか、どんな感じだったの?どうして高校辞めちゃったの?」
私は何も答えられなかった。
「凛ちゃん?」
何も答えない私を不思議と思ったのか、優しく私の名前を呼んだ。
「え?凛ちゃん?...えっ、ちょっ...」
涙が止まらない。
思い出すだけで、泣いちゃう。
過去にしたいのに、出来ない、過去。
「ごめんね」
海斗さんは私を腕の中にそっと抱き締めて、それ以上は何も聞いてこなかった。
私はいつの間にか、声をあげて泣いていた。
海斗さんにしがみつくと、頭を優しく撫でてくれた。
海斗さんは私が泣き止むまで、ずっと抱き締め続けてくれた。
数分が経ち、涙が収まる。
「大丈夫?」
「はっ、もうっ...」
私は嗚咽混じりの声で鼻を啜りながら、大丈夫だと答えた。
「私、そろそろ帰りますね」
「送ってくよ?」
「大丈夫ですよ」
笑顔を見せる。
きっと作り笑いだって気付くだろう。
だって、あのことを思い出したあとに、笑える筈なんてないんだから。
「え」
腕を引っ張られ、私はまた彼の温かい腕の中に収まってしまった。
「もう少し、俺の腕の中にいない?」
「え?どうして...?」
きっと私の顔は、真っ赤だろう。
心臓だって、ドキドキしすぎて痛い。
でも...ホッとするのは、何故?
「だって、泣かせた俺が悪いから」
「どうして海斗さんが泣かせたことになってるんですか?私が勝手に泣いたんです」
そう、海斗さんは何も悪くない。
だって...知らないんだから、私の過去なんて......。
「海斗さんは本当に優しい人なんですね」
まだ会ったのが2回目なのに、私は貴方に恋をしてしまいました。