第3章 再会、忘れたい過去
「何かあったの?凛ちゃんから会いたいなんて...」
少し心配そうな顔をした海斗さんにそう聞かれたけど...
寂しかったからとか、独りが嫌だったとか言えない。
言い訳を必死に探した。
「凛ちゃん?」
眉を下げて、心配そうに私の名前を呼ぶ。
「た、助けて、下さい...」
「え...?」
「え?」
咄嗟に口を押さえたけど、遅かった。
私は何を言ってんだろう。
海斗さんは驚いて、一瞬身体の動きが止まる。
手と口が反対の意思を持ったように、ずっと抑えてた言葉が、口から勝手に、洪水のように溢れ出す。
「助けて下さいっ...もう耐えられないです!苦しい...。誰かの優しさに包まれて泣きたい...眠りたい...」
もう最悪...。
絶対、面倒だって思われてる。
海斗さんは黙ったままだ。
寒い。
もう冬が近づいてるのに、薄いパーカーにショーパン。
どうして私は、海斗さんのことになると周りが見えなくなるんだろう。
厚着するのも忘れて...。
「ねぇ、今日、俺ん家、泊まっていかない?」
「え?どうして...?」
急に問いかけられた質問に、頭が回らない。
「独りにしないから...。俺は、ずっと、凛ちゃんの傍にいるから。俺に近付くことにだけは臆病にならないで」
海斗さんは今までにない、真剣な顔でそう言った。
でも、どこか寂しそうだった。
ねぇ海斗さん、貴方は私の過去を知っているんですか?