第2章 大好きなあの人との出会い
「はい、これ!もし時間が経って何かあったら、これに連絡して?」
そう言って、電話番号が書かれた紙をくれる。
キラキラの笑顔で...。
「かっこいい...」
「えっ?何?なんか言った?」
「あっいえ!何でもないです!!」
心から洩れたその声は、幸いにも聞こえてなかったらしい。
ホッと胸を撫で下ろす。
「じゃ、俺、急いでるから行くね!あっ、何かあったら連絡だよ?バイバイ!」
彼が立ち去ろうとする。
「あっ、すみません!ちょっと待ってください!」
「どうしたの?」
小首を傾げて、笑顔の彼。
「あの...お名前。聞いても...」
「あ、うん。尾崎海斗(おざきかいと)だよ」
あのキラキラした笑顔で答えてくれた。
尾崎...海斗さん...。
「尾崎さん...」
「海斗でいいよ!君の名前は?」
「え、あ、はい。私は鈴村凛です!」
「凛ちゃん!じゃ俺、本当に行かなきゃ!また会えるといいね!」
「あ、はい。また...」
行っちゃった...。
それが私と彼の出会いだったんだ。