第2章 大好きなあの人との出会い
私たちが出会ったのは、秋の涼しさが近づいてきた9月の終わりだった。
高1の秋に学校を辞め、1年が過ぎた。
友達と言える人も1人しかいなくて、それもただ自分がそう思ってるだけで、相手は思っていなかったのかもしれない。
ただの1度もその友達は、私を優先することはなかったから、連絡を取ってない。
何もすることがなくて、ただただ街中をふらふら歩いていた。
そんな時だったんだ。
目の前にスマホの画面を見ながら、慌ててこちらに走って来る、人影が見える。
私は避けるのも面倒くさくて、そのままぼんやり歩き続けた。
そして、彼は私に気付かずに、思いっ切りぶつかってきた。
おでこに彼の肘がぶつかり、一瞬何が起こったかわからなかった。
視界が涙で滲む。
ソレを堪える様に、下唇を噛んだ。
「やばっ」
ぶつかってきた相手がそう言う。
泣きそうなのが気付かれているのだろうか。
ならば気にしなくていい。
「だ...」
「大丈夫!?ごめんね、立てる?」
彼は私の言葉を遮って、そう言う。
眉を下げて、本当に心配そうに...。
「大丈夫です...」
目にたっぷりの涙を溜めながら、そう返した。
「赤くなってるし、そんな涙目で言われても...」
そりゃ、痛いからね。
と、心の中で悪態をつく。