第1章 初のご来店
「とうとうだね!早く入ろっ!」
とうとうだね!じゃなーい!!
わたし、行き先なんか知らなかったし、っていうか、教えてくれなかったじゃん。
もう、やだ。
帰りたい………。
腹くくる、なんてカッコつけたけど、やっぱり無理だって。
だって、もう何年男と縁ないと思ってんの?
由美が躊躇いもなく扉を開ける。
ホストなんて来たの初めてだし、なんにも知らないのに。………帰りたい。
「いらっしゃいませ」
出迎えてくれたのは、一人の男性だった。
第一印象、意外と普通。チャラチャラしてない。
だって、ホストって皆そんなもんだと思ってたんだもん。
あ、でも、笑顔が胡散臭いのは予想通り。