第6章 おかえりなさいませ、お嬢様
開店して5分も経たずに、満席になった。それでも、まだ並んでくださっているお客さんもいる。
急遽予定変更で、時間制にすることにした。
ひとり、1時間まで。
そうでもしないと、全員をご案内できない。
『お呼びですか?お嬢様』
「リッカくん、可愛い!」
あ、そうだ。
あれ、使ってみよっかな……。
『お嬢様、お褒め頂きありがとうございます。ですが─────………』
ぐいっと女性との距離を詰める。
えっと、確か………
人差し指を立てて口元に………ってさすがにお客さんにそれを出来るほどの勇気はわたしにはない。
だから、妥協して、自分の口元に持っていく。
『リッカくん、ではなく、リッカ、とお呼びください。今日は、お嬢様の執事なのですから』
トド松さんのパクリ。
別にいいよね?
「リッカ……これで、いい……?」
女性が恥ずかしそうに俯く。
『はい。ふふ、可愛らしいですね。…………って、お嬢様!?』
た、倒れちゃった…………。