第1章 初のご来店
逃げられないように腕をがっちりと掴まれ………というか、すがる勢いって言ってもいいのかも知れない。
まあとにかく、由美から逃げられない。
引きずられるようにして連れてこられたのは、誰も寄り付かなそうな路地裏。
『え、なに、真っ暗じゃん。とうとう頭おかしくなっちゃったの?ねえ』
「あー、もう!違うって!あんたは黙ってて!」
つけまつ毛とアイラインでやたら強調された目できっと睨まれる。さすがに抵抗できない。
だって、知ってる?
めちゃくちゃ怖いんだよ?
迫力、ありすぎて怖いんだよ?
『…………』
「よし、やっと黙った」
満足そうにそう言って、その真っ暗な路地裏の奥へとずんずん進んでいく。
こんな場所にいったい、何があるっていうの?
やっぱり、頭おかしくなったんじゃないの?