第1章 初のご来店
「ねえねえ、伊織!!」
わたしの同僚の由美が、とてつもなく高いテンションで話しかけてくる。さっきまで、散々前の男の愚痴言ってたくせに。
ほんと、都合いいよね。
だって、こういう時の由美は………
「こうなったら、男を狩りに行くぞ!!」
はい、出た。
「あからさまに、はい、出た。みたいな顔しないでよ!今回は、合コンとかじゃないから!」
『え?違うの?』
わたしが驚いて、目を瞬くと由美が得意げに胸を張る。
「グレードアップよ!!」
『はあ………』
グレードアップって………。
「もう!そんな顔しない!とにかく着いてきて!絶対伊織も気に入るから!」
と、強引に連れていかれた。
強引に、ね。
どこかって?
わたしも知らない。