第11章 だいじょーぶ!【十四松】
十四松さんと目が合って、にこりと彼が微笑んだ。それだけで、わたしの中に安心感が広がっていくのがわかった。
気づけば、わたしは部屋を飛び出して十四松さんのところまで走っていた。
そしてその勢いのまま十四松さんに抱きついた。
『ありがとうございますっ………!本当に……本っ当に………』
最初は驚いていたみたいだったけど、十四松さんがそっと抱きしめ返してくれた。
十四「うん、もうだいじょーぶだからね」
ああ、もう無理。
そう思った時にはもう遅かった。
『うっ………うぁああっ』
次から次へと涙がこぼれ落ちる。
十四「怖かったよね。ごめんね」
どうして十四松さんが謝るの?
十四「もっと早く気づいておけばよかった。そしたら、こんなに傷つかなくてよかったのに」
違う。
そんなことない。
でも、全然涙が止まらなくて、声が出なかった。喉がぐっと痛む。堪えようとすればするほど涙が溢れた。だから、もう堪えるのをやめた。
どれくらい時間が過ぎただろう。
喉はとっくに枯れ、目も赤く腫れ、なんだか途端に今の状況が恥ずかしくなった。