第11章 だいじょーぶ!【十四松】
『いえ、大丈夫ですよ、本当に』
こういうの、本当に困る。
わたしは笑顔で丁重に断った。
でも、断った瞬間に彼女の笑顔が消え失せ、目の輝きがなくなった。すごく虚ろだ。言うならば、死んだ顔。
「…………どうして……?」
『え?何かいいました?』
「ううん、何も?」
でも、すぐに元に戻ったから、特に気にはしなかった。
最近、彼女はこういう風に言ってくる。
例えば、彼女はいるの?とか、家はどこ?とか、連絡先は?とか。
もちろん、教えてない。
まず、彼女なんていないし、そういう趣味もない。
家とか連絡先なんか教えちゃダメって決まりだし。っていうか、例え教えてよかったとしても、わたしの場合教えちゃったら、無職になっちゃうじゃん。
本当に、最近は悩み事が多すぎる。