第10章 悪が勝ってもいいじゃん【一松】
『やける……?あの、やけるって……もしかして、猫に妬いてるってことですか……?』
一「うん」
素直に頷く一松さんを猫みたいで可愛い、と思ってしまったわたしは、頭がどうかしちゃったのだろうか。
そして、一松さんがまだ肩に顔をうめたまま、わたしの背に手を回す。
一「……だって、好きだから」
『え………?』
一「生きる意味なんてない、こんなクズな俺をちゃんと見抜いてくれた。こんなクズな俺だけど……君だけは誰にも譲らない」
わたしが口を開くより速く、唇が塞がれてしまった。
一「好き……。初めてのキス、君にあげる……」