第10章 悪が勝ってもいいじゃん【一松】
一松さんが、そのわたしに似てる、とかいう猫を撫でる。
一「……かわいい」
ふ、と優しく微笑みながら。
いや、うん。
分かってるよ。
わたしだってそこまで自意識過剰ではない。
でもさ………
ちょっとドキッとしたことは否めない、というか……。
顔が熱くなった、っていうか……。
一「………?なんで顔が赤いの……?」
『い、いえ!な、何でも!?暑いからでしょうか!?』
一「あ………もしかして」
一松さんが純白な猫を抱き上げる。
一「この子を自分と錯覚した?」
にやり、と笑んだ。
『ち、違います!!』
一「ほんとに?」
そう言って、一松さんがその猫の頭に顔を近づける。
そして、軽く唇を触れさせた。
『っ〜〜………!!!』
わたしの反応を見て、一松さんがまた笑った。
勝ち誇った顔で。