第10章 悪が勝ってもいいじゃん【一松】
『君、ずっとついてくるね』
一松さんに似た猫。
わたしの後をずっとついてくる。
『おいで。君も一緒に遊ぼ?』
でも、わたしが声をかけるとそっぽを向く。放ったらかしにしてたら擦り寄ってくるのにね。
かわいい。
一松さん猫に手を伸ばそうとした時、何か頭にずしんとした重みが乗っかった。
『うわっ!な、なに!?』
わたしが頭に手を伸ばそうとしたら、その重みが離れていった。
一「伊織ちゃんに似た猫を見つけた」
一松さんが、似てるでしょ?とでも言うように猫を持ち上げた。
『似てますか?そんな風には思わないんですけど……』
純白な猫なんて、わたしと似るはずがない。
一「うん、似てる」
わたしの言葉は無視して、一松さんがわたしと猫を並べる。
一「そっくりだね」
『………?そうでしょうか……?』
でも、言われると似てないことも……ない……?