第10章 悪が勝ってもいいじゃん【一松】
一松さんがわたしの腕の中で喉をゴロゴロと鳴らすタマゴローを撫でる。
一松「こいつさ………」
『……?はい』
一松「なかなか人に懐かないんだけど………」
『そうなんですか?』
一松「まあね。………どうして君に擦り寄っていったんだろ」
一松さんが眉をひそめる。
『わたしが猫好きだからでしょうか?ほら、動物ってそういうのが本脳的に分かる、みたいなのありませんでした?』
一松「ああ、聞いたことある。君、猫好きなんだ?」
『はい!大好きです!』
一松さんがふーん、と言いながら下を向く。相変わらず、猫は撫でたまま。
一松「じゃあさ、明日猫カフェ行かない?」