第8章 あげるよ【カラ松】
【カラ松side】
あまり音を立てないよう、細心の注意を払っていたのだが、起こしてしまったらしい。
眠たげに目を擦りながら、俺の名を呼んだ。
『カラ松さん………?』
驚いた。
なぜ、俺だと分かったのか、と。
おそ松かもしれないし、一松かもしれない。
なのに、彼女は迷うことなく俺の名を呼んだ。
これがとれだけ嬉しいことなのか、他のやつには到底分からないだろう。
おそ松が夢中になるのもわかる。
彼女は今まで出会ってきたヤツらと全く違う。
そしてこれからも、こんな人は二度と俺らの前には現れない。
どうやら、彼女に惹かれてしまったようだ。