第2章 後編
「好きだよ! ユメのことが!!」
暗くてもわかるくらいに顔を真っ赤にして、トランクスが叫ぶ。
「ユメが他の誰かのものになるなんて嫌なんだよ!」
……胸が熱い……。
今言われていることが、自分のことじゃないようで、現実感が無くて。
まるで……そう、幸せな夢の中にいるみたいだ。
恥しいのだろうか、トランクスはまだユメと目を合わせようとしない。
と、悟天が動いた。
パァーーーン!!
またしても小道に響くすごい音。
悟天が、トランクスの肩を思いっきり叩いたのだ。
「ッつ~~! 何す……」
「トランクス君、気付くの遅過ぎ!!」
痛がるトランクスに悟天はビシリと言い放つ。
そしてそのまま今打った肩に肘を置き、耳元で小さく続けた。
「もう少し遅かったら……ホントにユメは僕がもらってたからね」
「悟天……」
「?」
ユメには二人の会話が聞こえない。
と、悟天の体がスーと宙に浮いた。
「悟天?」
その背中を見上げて、ユメは彼の名を呼ぶ。
すると、悟天はゆっくりとこちらを振り向き、いつもの笑顔で言った。
「良かったねユメ! ここからはトランクス君に送ってもらいなね。今日のデート、すごく楽しかったよ!」
「わ、私も楽しかったよ! ……いろいろ、ありがとう!!」
笑顔で言うと、悟天は本当に嬉しそうに笑った。
ゆっくり上昇しながら悟天は今度はトランクスに向かい強く言う。
「トランクス君! またユメ泣かせたら、マブダチの僕が許さないからね!!」
そして、
「じゃーねー! また学校で!!」
軽く手を上げて、悟天はいつもの笑顔のまま飛び去っていった。