第2章 後編
「……」
「……」
途端、静けさを取戻す小道。
お互い目を合わさず、まだ距離をあけたままのユメとトランクス。
……ドキドキと煩い心臓の音。
でもそれが、今はとても心地いい。
耳にはまだ、さっきのトランクスのセリフが残っている。
『好きだよ! ユメのことが!!』
冬なのに、熱いくらいに身体が火照る。
(どうしよう……。嬉しすぎて、何て言っていいか……)
「……『また』って、ユメ泣いたの?」
先に口を開いたのはトランクスだった。
顔を上げるとトランクスの少し上目がちな視線とぶつかる。
「え!? あ……ちょ、ちょっとだけ……」
「……」
また俯いてしまったトランクスにユメは慌てる。
「ほ、ほら! トランクス卒業しちゃうし、もう会えなくなっちゃうなぁって思ったら寂しくなっちゃって!」
アハハと笑いながら努めて明るく言うユメ。
心の中では、もう悟天てば余計なことを~と親友に小さく文句を言いながら。
するとトランクスがゆっくりと口を開いた。
「……オレ、本当に恋愛とか苦手で、ユメに告白されたときも、ただびっくりして……」
「と、突然過ぎたよね、私!」
「でも、……すぐに後悔した」
「え?」
「悟天の奴に『ユメはもらう』って言われて、さっき、抱き合ってる二人を見て……すごく嫌だったんだ」
ゆっくりと話してくれるトランクス。
「……悟天の言う通りだ。気付くのが遅いよな、オレ」
ブルーの瞳が今度こそまっすぐにユメを見つめた。