第2章 後編
そしてその場から足を進めたトランクスを、ユメは赤くなりながらもまっすぐに見つめ返す。
彼が目の前に立って、ユメは少し見上げる格好になる。
見ると、トランクスもユメに負けないくらいに顔を赤くしていることに気付いた。
トランクスの手がユメの頬にそっと触れる。
自分を見つめるひどく優しい瞳に、ユメはドキリとする。
「傷つけてごめん。……もう、泣かせない」
「トランクス……」
「ユメ、好きだ」
その言葉と共に、トランクスは優しくユメを抱きしめた。
温もりに包まれて最初ビクリと身体を強張らせたユメだったが、すぐにトランクスに身を預けた。
トランクスの腕の中は、あたたかくて、心地よくて、すごくホっとする……。
(好きな人に抱きしめられるって、こんなに幸せな気持ちなんだ……)
ジワリと涙が出そうになって、ユメは目を閉じる。
言われたそばから泣いてしまったら、きっとトランクスが困ると思うから。
だから笑顔で……。
「トランクス……もう一度言ってもいい?」
「え?」
「好き」
二度目の告白に、トランクスはまた少し顔を赤くした。
「――なんかオレ、ガキみたいだ」
「え?」
「人に取られて初めて自分の気持ちに気付くなんて……あいつのことバカにできないな。……あ。そういえば、ユメ」
「?」
「その、……この間のチョコって、まだ残ってる?」
「へ? あ、うん! 家にあるよ。……あ、でも、もうきっと美味しくないから、また作るよ!」
「え! 手作りだったの!?」
「あ、でもそんな大したものじゃないよ! 簡単なやつだから、すぐ作れるし」
「いや、この間のが欲しいんだ」
「でも……」
「いいんだ。今更だけど、あの時のユメの気持ちを受け取りたいから」
優しく微笑まれてユメは赤くなる。
なんだか先ほどから、さらりとすごいことを言ってくれるトランクスにユメは驚いていた。
「友達」のときには見えなかった一面。
きっとこれからいろんな彼が見られると思うと、改めて幸せを感じるユメだった。
恋人。
それが、これからの二人の関係。
END.