第2章 後編
振り返ると、街灯に照らされ真剣な表情を見せる悟天がいた。
握られた手に力がこもりユメは小さく驚く。
「ユメ。本当に……本気で、僕と付き合わない?」
「!?」
ユメは戸惑う。
(こ、これも、演技だよね……?)
でも、悟天の顔がなぜかひどく大人びて見えて……。
その時、繋いでいた手がぐっと引き寄せられた。
(え……?)
次の瞬間、ユメは悟天の腕の中にいた。
「僕は、ユメのことが好きだよ」
「!?」
ユメの身体がビクリと緊張する。
構わず続ける悟天。
「……トランクス君のことは、僕が忘れさせてあげる」
耳元で囁かれる声は、確かに悟天のもので……なのに全く違う人のようで……。
ぎゅっと強く抱きしめられて、苦しくて、ユメは顔を真っ赤にして身じろぎする。
「やだっ、悟天離し」
「いやだ。離さない」
「悟て……」
――と、その時だった。
スッパーーン!!
……そんなような、小気味良い音が静かな小道に響いた。
「いっ……てぇーーーー!!」
直後、悟天の大きな叫び声が続く。
ユメを離した手で頭を押さえ、そのままうずくまってしまった悟天。
何が起こったのかわからなくて放心状態のユメの前に、人影があった。
それは、
「ト、トランクス君! いきなり何すんのさーー!!」
早々に復活した悟天が後ろを振り返って怒鳴る。
そう。
そこにはなぜか、必死な顔のトランクスが立っていた。
嬉しさよりも驚きの方が大きくて、ユメは口を開けたまま声が出なかった。
「しかも今、わざわざ気まで消してたでしょ!」
なおも涙目で怒鳴り続ける悟天。……だが。
「お前がバカなことをしてるからだ! こんな所で、ユメに何してんだ!!」
最近は滅多に聞くことのなかった幼馴染の怒声に、悟天の方が怯む。
ユメもびっくりしてその場で固まっていた。
こんなに怒ったトランクスは見たことがなかった。