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【DBトラ】友達

第2章 後編



「そ、それじゃぁ、行こうか! デート楽しもうよ!」

「……うん」

「まずは、そーだなぁ。映画でも観にいく?」

「……え? あ、行きたい! 最近CMでやってるやつで観たいのあるんだ!」


 少し笑顔になったユメ。

 すると悟天はホッとしたように笑って、優しくユメの手を取った。

 そのさりげない自然な行動に、瞬間、不覚にもドキリとしてしまうユメ。


(さすが。エスコートし慣れてるし……)


 歩きながらそんな友人の横顔を半眼でジーと見上げていると、悟天がすぐに気付いた。


「な、何? その目」

「いや、なんで悟天てすぐ彼女に振られるのかなぁと」

「うわっ何それ! 普通に傷つくし!!」


 大げさにショックを受けたフリをする悟天に、ユメは久し振りに声を上げて笑った。





 二人はそれから楽しく恋人同士を演じた。

 映画を観た後は喫茶店に入り、その後はショッピングしたりゲーセンに入ったり。

 気付けば普段遊ぶときと同じようなコースだったりもして、二人は顔を見合わせて笑った。

 違うのは、ずっと手を繋いでいることだけ。


 トランクスは、一向に現れない。


 時々ふと暗い表情を見せるユメを、悟天はすぐに笑わせてくれた。


(悟天がいてくれて良かった……)


 ユメは心からそう思った。

 でも楽しい時間は早く過ぎてしまうもので……。



 夜。ファミレスで夕食を済ませた二人は帰途についていた。

 ユメの家に向かい人気の無い道を歩く二人。


「何も、送るまでしてくれなくてもいいのに……」

「恋人同士はこういうものでしょ。気にしない気にしない!」


 吐く息が白い寒空の下、悟天の手はとても温かい。

 バレンタインが一年で最も寒い時期にあるのは、告白に成功し誕生したカップルのためなんじゃないかと、ユメはふと思う。と、


「……トランクス君、遅いなぁ……」


空を見上げながら呟いた悟天に、ユメは小さく苦笑する。


「悟天、……本当にもういいんだ。今日遊んでかなりスッキリしたし。本当ありがとう」


 すると、悟天の足が急にそこで止まった。

 手を繋いでいるユメも一緒に止まることになる。


「悟天?」


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