第2章 後編
日曜日。
ユメは悟天と約束した待ち合せ場所に、一人イライラと立っていた。
すでに30分待たされているユメは、先ほどから腕時計とこれから悟天が来るであろう先を何度も見合わせている。
と、
「おっはよー! ユメ♪」
向こうから走ってきた悟天をユメはキッと睨みつけた。
「遅い!! まったく、何でいっつも悟天てむぐっ!」
「シーっ! 言ったでしょ。今日は僕たち恋人同士なんだから、それっぽくしなきゃ!」
ユメの口を塞ぎ、マジメな顔で言う悟天にユメはむくれた顔を返す。
「……本当に、これでうまくいくの?」
「うん! 昨日トランクス君にはちゃんと言ったし、絶対うまく行く!」
相変わらず自信満々な悟天。
ユメはトランクスの名前が出てきただけで、また少し胸が痛んでしまったけれど……。
――悟天の作戦とは、
「二人で本当の恋人っぽくデートしてれば、絶対に途中でトランクス君邪魔してくる!」
というもの。
「トランクスがそんな子供っぽいことするわけない」というユメの反論も聞く耳持たず、今日、作戦当日となったわけだが……。
ユメはもう半分ヤケになっていた。
今日のこの嘘デートも、悟天には申し訳ないが、気分転換のつもりだった。
休みに家に一人でいても、きっと暗くなってしまうのはわかりきっていたから……。
「トランクス……どんなふうだった?」
(というか、あの直後によく会えるよね……)
心の中であの日の二人を思い浮かべながらユメは訊く。
……やっぱり反応は気になる。だが、
「『そう』って一言だけ」
がくっと肩を落とすユメ。
「あっ! で、でも、僕の見たところ無理してる感じだったよ!」
一応フォローを入れてくれる悟天だが。
(ちょっとでも期待した私がバカだった……)