第3章 〈リクエスト〉竜胆の家【黒バス:青峰】
ゲームをそこそこに流しながらプレイ。
考え事にはちょうどいいクソゲーだ。
「よくそんなつまんねーゲームできるよなー…」
「………」
後ろ向きにのしかかったまま画面を覗き込んだ大輝が呟いた。
そうだね、私も悩みが無ければこんな駄作やらないよ。
「なーまだー?」
「まだ」
背中にのしかかる温もりを感じながらこれからどう支えれば良いのだろうと不安になる。
と、急に背中に掛かっていた重量が消える。
すたすたとまるで自分の家のように部屋を出て行く。
しばらくして、ばか、という冷蔵庫をあける音が聞こえた。
「麦茶はまだ冷えてないよーっ」
画面から目を離さずキッチンの大輝に言い放つ。
のしのしと歩いてくる足音から不機嫌になっているのがよく分かった。
「早く冷蔵庫いれたらいいじゃん」
ドアから入りながら恨めしそうな瞳で此方を見やる。
いじけたように手に持ったポカリのペットボトルのふたを乱暴にあける。
「まだ?」
「まだ」
次のセーブポイントはなかなか遠く、ひたすら話を進め続ける。
大輝は私を抱えるような形で後ろに座る。
体の横から黒い長い足がにょっきり伸びていて、胸元に腕が回る。