第7章 小さく灯る1ルクス
「クライブもようやく城へ戻ってきたことだし折角なので明日は彼に就いてもらいましょう。貴女のおかげでクライブは事実上の昇進ですね。全く、この忙しいのに隣の国へ何の用だったんでしょう・・・」
あれ、クライブさんが城から離れたのってこの人の差し金じゃないんだ?
え、じゃあ何であの日の夜に私の所へ来て意味深な言葉を???
「とにかく、明日の用意は全てそろいました。後はアリーチェ、貴女さえいればこの国の全てが良くなります」
その後しばらく司教サマのありがたーい自分語りが続いた。
看守はうんうん頷き感動していたみたいだけどね
ようやく騒がしい連中がいなくなる頃には私はもうあくびを隠す事もせずにいた。
再び訪れた静寂。
明日、本当に私は・・・
どんなに嫌がってももう私の感情だけでどうにかなる問題ではなさそうだ
思わず裾を強く掴む
と、一つの足音がこちらへ向かってきている
司教を見送った看守が戻って来た音だった
「俺から一つ、お祝いをやろう」
「へ?」
「俺なんかの身分じゃもうあんたをお目にかかる事すら出来なくなるだろうからな」
「えーっと・・・?」
「ここから出してやるなんて大層な事は出来ないが、そうだな・・・今、会いたい奴はいるか?ほんの少しの間なら会わせてやる事くらいはできるかな」
「本当!?それならクライブさんと、ステアと、ダリさんと・・・」
「多い多い!一人に絞ってくれ!」
考えあぐねた結果、クライブさんを呼んで貰う事にした。
ファーストネームだけで判るか不安だったけど、
クライブさんはこの国で強くてかっこいい事でちょっとした有名人だった。
ちびっ子からそのケの人まで幅広い人気があるとかないとか。
そんなすごい人だったんだ・・・
大人しく待つこと数十分。
早足で階段を下りて来る音がしたと思う間も無く扉が開く。
「アリーチェ!」
私の名を呼ぶクライブさんの声がなんだかとても懐かしく感じた