第9章 多分、これが次の章ってやつ?
そして儀式の最中にミストさんが乗り込み、クライブさんと大立ち回りをしたのは、いわゆるお芝居だったそうで。こっそり逃げようとしていた私をステアが広間の真ん中に押し出したのはアドリブだった、らしい。
「ごめんね、アリーチェ。あの時君にはクライブさんの近くに居て貰わないと成り立たなかったから、ああするしかなくて・・・。僕も、直前まで作戦の事、知らなかったから手荒な方法取っちゃって・・・」
良かった。裏切られてたのかとずっと気になってたから。
そして本当に裏切りだった場合、一発げんこつすると密かに決めてたから。
・・・なんて言えない。
「えぇと・・・なんか大前提で話が進んでるんですけど、クライブさんとミストさんの関係って・・・?」
どちらともなく尋ねてみると、ミストさんがクライブさんに説明する様、顎で促す。
それに応じたクライブさん。
「あぁ、すまない、アリーチェ。紹介が遅れたな。彼は、俺の師匠に当たる人だ」
はぁ!?
今更大した驚く事はもうなかろうと思ってたけど・・・師匠?なんの?やっぱ剣?
いやいや、それじゃあミストさんっていくつなんだ!?すっごい若く見えるけど・・・
つうかクライブさんと同じくらいに見えるんだけど。
「アリーチェ、覚えてる?僕とクライブさんはエアフルトの出身じゃないって言った事。僕達はこれから向かう隣の国、ソイル・シーモンドの出身なんだ」
横からステアが補足を入れてくれた。
あー!なるほどなー!
だからダリさんはやったらソイル(以下略)について地理とか説明してくれてたんだねー!?
あー!そうかそうか!
先に言え!!
知ってたら無謀な脱走なんかしなかったのに!
最後のは思わず口に出してしまっていた。
「いや、結果的に混乱に乗じる事が出来たから、いいんだ。だが、恐い思いをさせてしまってすまない」
誘拐犯ことクライブさんが神妙な仕草で頭を下げて来た。