第7章 小さく灯る1ルクス
ここからの数日は本当に似たり寄ったり。
食事を与えられて、看守と一言二言だけ言葉を交わして
暗い牢の中でじっと一日が終わるのを待つ。
ありあまる時間はやる事もなく、色々考える事はあっても解決のしようがないのでただ身体を横たえたり小さく歌を口ずさんでみたり
それでも発狂しなかったのは気を利かせてくれた看守が来るたびに大体の時間と、その日の天気を告げてくれたから、だと思う。
ある時、ふと司教様の言葉を思い出した。
「女性など伝説上の生き物だ、というある種の諦めが蔓延しはじめました。妻がいる者も、恋人がいる者も、その事自体を忘れてしまうようになってしまったのです」
その言葉を聞いたのは、この世界に落ちて来たすぐ後だったからうっかり忘れかけてた
・・・これ、何気に超重要じゃね!?
居てもたってもいられなくなり、つい大声で看守を呼んじゃったけど、
私が無事である事を真っ先に確認してくれた。
そんな彼にちょっと謝って、勇気を出して聞いてみることにしてみた
「あの・・・この世界は女性が消えてしまったと聞いたんですけど、あなたは、女性が居た頃の事、覚えてる?」
「あぁ?・・・司教様が言うには五年前には存在したらしいな。あいにく俺は覚えてねぇよ。もしかしたら俺にも女房がいたのかもしれないけどな」
「ねぇ、だとしたら、家に何か女性が居た形跡とか、残ってないの!?事実このお城には女性物のドレスが沢山あった!」
「いや、うーん、どうだったかな。あの時は国中が混乱してたからな。・・・そういえば司教直属の調査隊とやらが国全部の家の中を調べに来た事があったな」
つばを飲み込む音が私の喉に響く。
「確かそん時は家主は俺なのに外に締め出されて腹立ったなぁ」
うわぁそれ、思いっきり証拠隠滅じゃんよ!司教!!