第7章 小さく灯る1ルクス
話す間中、看守は辛抱強く私の話を黙って聞いていてくれた
その後に腰にぶら下げていた水筒から水を出し、牢越しに私に与えてくれた。
一気にしゃべりまくった所為でカラカラの喉に流し込む。
大きく一息ついた所で、空になったコップを渡すと看守が呟いた
「なるほどなぁ・・・全部を急に信じるのは出来ないが、それだと色々辻褄合うなぁ」
「ところで・・・他の看守を見たことがないけどあなたは、私がここを出る日までずっと一人なの?」
「そりゃ箝口令敷かれてるから人数は少ない方が良いさ」
「え、じゃああなたもここから出られないって事?」
「全く出られないわけじゃないし、俺の仕事は元々こんなもんだ」
「なんか、私の所為で・・・」
「どうせお前がここに来なくたって俺は他の罪人の看守をしてるだろうさ」
「・・・聞いてくれて、ありがとう。それからこのお水と、あとランタンも」
「あぁ。」
「・・・俺、もう行かないと」
短く言うと看守は立ち上がる
当然のように、ランタンをそこに置いたままで
「あっ、ちょっとまって!」
もう一つ、大事なことを忘れていた。
「あの・・・ここに入る時にカバンの事で暴れたりして、ごめんなさい」
「あー・・・。じゃあ俺も、強く怒鳴って悪かった」
瞬間、
甲冑の向こうの苦笑いが、ふと見えた気がした