第7章 小さく灯る1ルクス
ジュッと音がして、ついに蝋燭が燃え尽きてしまった。
完全暗闇かと思いきや、目が慣れて来るに従い、
牢の向こうの看守の部屋からうっすらとだけ明かりが漏れているのがわかる
ノートを閉じて手探りでカバンにしまう
大きくため息のち、ここまで放っておいた問題を頭の中で解凍する。
ルイ君について、だ。
ちょっと思う所がある。
改めて考えるんだけど、アイツ何者なの??
従者に紛れて私の部屋に居た時、明らかに一人だけヘンな色の髪だったのに
誰も気が付かないなんて、異常だ。
その後私の部屋に現れた時もおそらくワープとか、魔法的な力を使ったんだと思う。
私を異次元に連れて来る時点でフツーじゃないのは明らかんだけど、
じゃあ「なにもの」なのかって事。
神様・・・・とはまた微妙に違うような気もするし、
悪魔とも違う様な。
妖精、霊、どれも違う。だけど私の髪の色を変えたり、多分それ以上の力は持っていそう。
ぐるぐる考えているうちに何やら明かりの漏れる方向が騒がしくなって来た
話し声がどんどん近づく
扉が開いた音と共に、強い光が私の瞳孔括約筋が縮んだ。
「ご機嫌いかがですか?銀の乙女」
優しい声の中に、凄みと怒りが混じっている
司教様、だ
「・・・出してくれませんか」
「出したら、逃げるでしょう、貴女」
「どういうおつもりかは知りませんが、貴女をこの国から出すわけには行きません」
「そっちこそどういうつもりなんですか!私の事なんだと思ってるんですか?」
「いいですか、貴女はこの国、いえこの世界を救う力があるかもしれないのです。
貴女の存在はこの国の大きな支えとなるでしょう。王が帰って来るまで、私達は貴女を護る必要があるのです」
「護り方違くないですか!?」
「貴方が逃げようとさえしなければ、上等なお部屋を誂え続けたのですが・・・」
「じゃあ、私が今舌噛んで死ぬって言ったら?」
「それを恐れて拘束具と猿轡を用意させて頂きました」
じょじょ、冗談ですよ!
言葉通り、看守がそれらの道具を持ってきた
え、なに、私さっきまでお姫様みたいな扱いだったのに、反抗的な態度をした途端にこれですか!?
黒幕は王様じゃなくて司教様なのかなぁ・・・