第7章 小さく灯る1ルクス
あの後、ステアと涙の再開。
何時間か前に顔を合わせたばっかりなのに、安心が止まらなかった。
ひとしきり互いの無事を喜び合い、とりあえず二手に分かれてステアに課せられた夕食の準備を手伝った。
正直、そこで逃げてもよかったんだけどちょっとプライドが許さなかった。
やる事ちゃんとやってから逃げたかった
それはステアの為なのか、私の為なのかは今もわからない。
まぁ、その馬鹿正直の為に、今牢屋なんですけどね。
私は今、冷たい牢屋の中で、薄暗い蝋燭を頼りにルイ君がくれたノートにこれまでの事を書き記している。
どこまで書いたっけ?
あぁ、そうだ。その後、お風呂を焚く時に改めてステアは魔法使いなんだなって思ったよ。
てっきり竹の筒みたいなモノでフーフーするのかと思ったら
魔法で火ぃ、付けちゃうんだもん
しかも、呪文とか無かった
そう言えば最初に私を助けてくれた時も呪文とか無かったような?
ステアに聞いたら笑われた
「剣で戦う時って、わざわざ『袈裟切り!』とか叫びながら使う?それと一緒だよ」
って。
「相手を威嚇するときに使う事はあるけど、普通かっこ悪いでしょ?」
とも。
印象に残ったから今ノートに書いた部分にアンダーラインしとこう
魔法は呪文、別にいらないっぽい
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