第5章 巧みに躱せ、最悪のルート
「さ、それじゃあ気を取り直し・・・」
ダリさんはそう言いかけ、窓を見つめたまま何かを目で追う
「丁度いいのが来た。あれを見てごらん」
言われるまま窓に近づくと、遠目の空に何か飛んでいるのが見える
飛行機・・・いやちがうな、船に近いだろうか?
「えっ何あれ」
「私たちはあれを『ノア』と呼んできます」
「ノア???」
船にプロペラが付いたような形状の『ノア』が遠くの上空を通り過ぎて行く
見た目に反して意外に早い。
でもあれ、どうやって動いてんの
「あれはこの世界の乗り物のうちで、恐らく一番早い乗り物です。操縦しているのは大抵は人間ですが、あの技術はヒトには追い付けません。他のある種族が作った物と言われています」
「すごい!ちょっと恐そうだけど乗ってみたいなぁ!」
実際今見た形のやつは、天井が付いてないっぽかった
多分物凄い早いオープンカー、みたいなところだろうか?
「残念だけど、この国にはノアは無いんだよ。何せ他の種族を拒絶しているからね。ここだけの話、王が高い所が嫌だから導入しないっていう噂もあるよ」
「じゃ、さっきのは他の国の人なんですか?」
「まぁそうだろうね。方角から見て、ソイル・シーモンドのだろうかな。総称して『ノア』と呼んでるけど、色々種類があってね。国で言えば、やっぱり特に他種族と仲良くやっている分ソイルが一番多い。お金持ちが個人で所有する事も結構あるんだ」
「飛行機みたいなものがあるって事は、やっぱ車とかもあるんですか?」
「車?馬車ならあるけど」
空飛ぶ船からいきなりグレード下がるなぁ
でも空飛ぶ船なんてファンタジー乗り物、是非乗りたい!
・・・この際安全性とか動力源とか
現実的な事はあんまり考えないでおこう