第5章 巧みに躱せ、最悪のルート
それにしても・・・クライブさんは無事だろうか?
どんどん遠ざかるノアを目で追いながら私は急に不安になった
「ん?顔色悪いけど・・・今日はこの辺りにしておこうか?」
「え、いや、大丈夫です!それよりももっと色々知っておかなきゃ」
テーブルに着くと同時に、部屋の外から従者が入り、室内の端にいた他の従者に何事かを耳打ちする。
伝言ゲームの様に耳打ちされた従者がこちらへ近づいて来る
まどろっこしいから直に言え、直に!
「只今伝令が入りました。ダリエル様。司教様がお呼びです」
「今、見てのとおりアリーチェ様にお勉強教えてるんだけど?」
「大至急との事です」
従者がきっぱりと言い放つ
「・・・参ったね。王の居ない今は司教様がトップみたいなもんだから逆らえないねぇ」
柔らかく笑いながらも棘のある言葉を声に出すダリさん
すごくイヤな予感がする。
「大丈夫、私なりに君の事、色々考えてみるから」
小さな声でそう呟き、私に背を向ける
部屋に残されたのは、本の山と壁に張ったままの地図。
このままダリさんすら帰って来なかったら、私、たぶん泣く