第5章 巧みに躱せ、最悪のルート
「宗教国家・・・って何ですか」
単語は知ってるけど意味は知らない
「うーん、王様がこの国のトップだけどその上には絶対的な神様が居ると言えばいいかな。この国の人は神様と教会が絶対的な信仰を持っている。王様も例外じゃないさ。国を貶めることは神を貶めることになる」
判るような判らないような・・・
でも、さっき私が挑発してこの城が脆いだの何だの言ったときに従者が怒りを見せたのはそのせいだろうか?
「教会の訓えではヒトはヒト意外と交わってはいけない。だからそれを護るためにこの国の人は他の種族との関わりを極端に嫌っているんですよ」
「うーん。何ていうか、正直面倒くさいですね」
ここでステアの言葉を思い出し、小声でダリさんに聞いてみた
「午前にステアが言ってたんですけど、彼とクライブさんとダリさんは他の国から来たって聞きました」
「あー、うん。でもそれ、そこまで大勢が知ってる訳じゃないからなるべく秘密で」
「はい。でもそれってどういう意味なんですか?」
「さっきの話にちょっと戻るけど、よその国から来た人はその考えに縛られ過ぎないって事だよ」
ステアの言う通り、ダリさんも信じていい人みたい。
私は思い切って打ち明けることに決めた
「実は・・・・・」
「うーん。それは私にも難しい問題だな」
顎に片手をやりながらダリさんは答える
「なんといっても私は彼らと違って剣や魔法を振るう事が出来ないからね」
「そうですか・・」
「でも、私には知識があるからね。もしかしたら君にとって必要な物を知っているかもしれない。それに、いくら世界がこの状況だとしても他人の・・・今でいう君の気持ちを尊重できないなら、いずれこの国は亡ぶだろうね」
真剣な眼差しで私を見つめるダリさんは、本気で私の事を心配してくれてる気がする
少しづつ畏まった敬語が無くなってきているのが何よりの証拠。